日記の活動をアピールする気持ち

日記の活動をアピールする気持ちの表れと、気持ちの変化

機内にて

 

7:44〜
 札幌-羽田の機内でこれを書いている。
今は低い雲を抜けて、厚い雲の中。ちょうど羽の横の座席なのだけど、なんだか映画のセットのようだ。揺れるときは頼りなくぐらぐら揺れるし、実は段ボールなのではないかな。
ぐらぐらゆれるにしても、100人以上を担いで高速で空を飛ぶ飛行機はやはりすごい。僕にはなかなかできないと思う。
 
雲の上に出た。
 
 シンガポールへ海外出張に行くことになり、この2ヶ月ほど準備に追われていた。僕なんかはいわゆるペーペーなので、やることも大したことはないのだけど、それでも初めてというのはわからないことだらけだ。だいいち地図がわからない。現地に着いて一番心配なのは道に迷うことだ。最近まで自分は地図に強いと思っていたのだけれど、たんに札幌市街の地理が単純だったというだけだった。最近は、スマホタブレットで調べれば地図なんか覚えなくてもいいという人もたくさんいるけれど、できれば行き方を暗記してから歩き出したい。その結果道に迷ったことは何度もある。道に迷うのが好きなのかもしれない。嫌いじゃないことは間違いない。
 4泊もするくせに僕が活躍するのはたった30分。そのために半年前から準備をしてきた。失敗しても僕が恥をかくだけで、特に人が死んだり最後の審判が早まったりすることはないので、まあ気楽なものだ。
耳が痛くなってきた。
 
 
16:14〜 羽田-シンガポール
 円城塔が、「飛行機の中でしか読めない本があると良い」という書き出しで道化師の蝶を始めていたことを思い出す。地上ではふーんと思って読んでいたけれど、機内では強くそう思う(円城塔が文字通りの意味でそう書いたかは不明)。機内でしか書けない文もあるだろうと思って書いているのだけれど、なんとなくふわふわしている気がする。高速で空の上を移動しながら書かれる文は、常に後ろに流されていってしまう。三次元上のこの点でこの文字を書いた人間というのは、自分以外にいるだろうか。空の上に取り残された文字は、そのまま漂うのか、それとも重力に従って海へ落ちるのか、どちらだろう。
やはりなんとなく意識が取り残されていく。ところで、道化師の蝶を読んだ人ならわかるが、そもそも、今書いている文はほとんど冒頭の受け売り。
 
札幌-羽田の間に、機内でしか作れない曲もあるかなと思って一曲作ってみた。
 

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 1時間ほどで作った割にはまあまあな出来。これが飛行機内で聴くに限る音楽かと言われればべつにそんなことはないと思う。sus2とかsus4とかを積み上げていくコードはもはや自分の手癖のようなものだし、使い回しも多い。絶対に機内で完成させようと思っていたので、うまく風呂敷をたためたのはなかなか良かったと思う。osterreichを聴いてから「こんなのを作ろう」と思って作りはじめたので、どちらかといえばosterreichのことを忘れてから聴くに限る曲ではあるかもしれない。
円城塔の受け売りを続けるとすれば、この曲も「猫の下で聴くに限る」とか、「吹雪の夜に聴くに限る」とかである可能性は十分にあるので、色々試してみる価値はある。
 
 機内はやけに文章が書ける。いつもは行ったり来たりしているので、これくらいの量でもやたらと時間がかかって、その上まとまりがなくなりがちなのだ。そもそも自分が、「飛行機内で書くに限る」の可能性がある。